「賢くお金を使う人」がやっていること (王様文庫)

お金を使うという行為に伴う様々な心理について、シチュエーションに基づいて解説してくれる本です。スーパーでの日用品の買い物から、外食、駐車料金、旅行にネットショップ、私達の生活は、日々、「お金を使う」ことにあふれています。そして、テレビやネットを見ればCMや広告サイト、お店に行けばポスターや展示、店員さんのPRと世の中はいかに私達に「お金を使わせる」かを考え抜いた仕掛けであふれているのです。本書を読むと、「売る側」がそれをいかに考え抜いて（消費者側が思い至らない深い部分までを！）それらを仕掛けてきているかが、よーくわかります。それでも、現代社会に生きる私達はある程度「お金を使う」ことを繰り返していかなければ生きていけないわけで、それはいわば選択の連続です。選択の連続の日々の中で、私達は「選ばなかった中にもっといいものがあったのではないか？そうすると自分が買ったものは値打ちが低いので、それに使ったお金は損だったのではないか？」という不安にさらされ続けているわけです。そして、そんな不安心理をも知った上で「売る側」は私達にCM等でコミュニケーションをしかけているというのです。例えば、高額な商品を買った後は、自分がいいものを買ったと思いたいがために「自分に都合のいい情熱だけを集めて自分の先入観や考えを補強」しようとして、その商品のCMを熱心に見るんだそうです。また、ネットショップの口コミに自分が買った商品に対して、「よほどの不満がない限り、その商品には高い評価を下す」心理があるんだとか。お金を使う場面で、情報を整理し、冷静に判断を下すために、参考になる話がもりだくさんな一冊です。